Creator Interview with
ueo
クリエイターインタビュー
楽しむ心がたいせつ
イラストレーター:ueo

-イラストレーターを目指されたキッカケはなんですか?

ueo:実は高校時代までは全然イラストレーターの方向に進もうとは考えていなかったんですよ。父が会社を経営しているのですが、私もその跡を継ごうと考えていまして、高校では進学校に進みました。

-現在のイラストレーターとはかなりイメージの離れた職種を志望されていたんですね。ちなみに当時は特に絵は描かれていなかったんですか?

ueo:趣味で落描きしたり、色鉛筆やコピックでイラストを描いたりはしていましたが、その頃はイラストを仕事にしようとは夢にも考えていませんでした。
けれどある日、本屋でとあるイラストレーターさんの画集を見て、電撃が走ったんです!

お名前は伏せさせて頂きますが、絵柄から塗りまで本当にどストライクで……!
そして自分もイラストレーターになりたいと思い立ちました。親に相談したら、自分がやりたいことをやってみなさいと言ってもらえまして、そこから美術大学を目指して美術の予備校に通い始めました。

-すっごい突然の方向転換ですね……!

ueo:はい(笑)。もしかしたら無意識下でずっとなりたかったのかもしれません。予備校ではまずは基礎を覚えようと思いまして、デッサン中心にひたすらアナログで絵を練習していました。そして美術大学に受かることができまして、本格的にPCでも絵の勉強を始めました。

ueo:お仕事を初めて受けたのも大学在学中です。描いたイラストをpixivにUPしていたところ、少しずつ依頼のメールを頂くようになりました。そしてありがたいことに継続して依頼を頂けるようになりまして、卒業後はどこかに就職するのではなく、フリーランスとして働く方向に飛び込んでみることにしました。

—実際にフリーになってみてどうでしたか?

ueo:不健康になりましたね(笑)。途中で移動したりはあったんですが、実はそれまで7年ほど学生寮に住んでいたんです。なので完全に一人でいるっていうことがほとんど無くって……。フリーになるのと合わせて一人暮らしを始めたところ、どんどん夜型になっていきました。

一度集中し始めるとまわりの音が聞こえなくなるぐらいグっと集中できるタイプなんですが、気付いたら深夜や早朝ということもしばしば……。丸一日だれとも会話しないし、家から一歩も出ない日もザラでしたね。

唯一の敵はスマホ。集中し始める前にスマホをいじると随分と時間が経過してしまうこともあったので、仕事を開始する前に時々時限開閉式の箱にスマホをしまうんだそうです。

—でした……というと、現在は改善されたんですか?

ueo:このままじゃいけないなと思いまして、一年程前から犬を飼い始めたんです。朝と夕方に散歩しますから適度に運動もできますし、生活リズムも朝型に戻りました。

現在は朝8時ぐらいまでには起きて朝食や犬の散歩。
その後9時頃からイラストのお仕事を始めて、休憩挟みつつ夜の8時ぐらいまで続ける、といったスパンで生活しています。
もちろん、仕事が詰まったときには深夜までお仕事をすることもありますが、昼夜逆転ということは無くなりました。

ueoさんの飼い犬(犬種:シェットランドシープドッグ)

—在宅でのお仕事というとどうしても夜型になりがちなイメージがありますが、ペットを飼うことで改善されたんですね!ちなみにお仕事時間の話が出たので伺いたいのですが。ueoさんのイラストというとやはり細部まで美麗に描き込まれた厚塗りの印象が強いのですが、どうやって完成の見切りを付けていらっしゃるんですか?なかなか厚塗りだと区切りが付きづらい印象があるのですが……。

ueo:私は満足するまで塗り込んじゃいます(笑)。その上、昔は1パーツ1パーツずつ塗り込んでいくスタイルでしたので、依頼を受け始めた初期は完成までの見込み時間の見通しがなかなか立たず、スケジュール組みがうまくできなくて大変でした……。

それを改善するためにも、現在は全体を少しずつ塗り込みながらチェックしていって、現在の完成度がどれぐらいか、そこからあとどれぐらいで完成できるか、予測を立てながら進めるようにしています。

ueo:でも、アニメ塗りやブラシ塗りよりも厚塗りの方が個人的には気が楽ですね。

—そうなんですか?素人目だと厚塗りの方が作業量が多いイメージですが。

ueo:はい、特に主線無しだとありがたいです。もちろん塗り込み具合という意味では作業量が多めかもしれないのですが、主線無しの厚塗りだと比較的修正が容易なんです。アニメ塗りやブラシ塗り、それに線画有りの厚塗りだと、修正が入ると根本から描き直しが必要になるので……。仕事での制作では修正が一度も入らないということは少ないですから、この違いは結構大きいです。

そして、私が線画工程が苦手というのもあります。SAIを使うことである程度作業スピードを改善できるようにしていますが、それでも線画に時間がかかってしまうことも多いのでこれからも練習ですね。

ラフから線画を引くタイミングだけSAIを使用。

—塗りや主線の有無でそういった違いがあるんですね。

ueo:はい。でも依頼頂けたイラストにはなるべくどれにもチャレンジしていきたいですね。仕事のイラストはクライアントの方に注意して見てもらえる分、自分では気付けていない問題点への指摘を頂けるので、成長できてありがたいです!

—それでは、今後も様々なイラストに挑戦していくのが直近の目標ですか?

ueo:それもありますが、最近は自分の売り出しというのも考えています。
仕事をするようになってからオリジナルイラストを描くことがめっきり減ってしまったので。……ただ、実は仕事絵の方が制作しやすかったりするんですよね。

仕事絵を実績公開するようにしてから、一気に自分の中で公開可能なイラストのボーダーラインが上がってしまったんです。趣味絵とはいえ簡単な落描きを公開していいものか、と悩んでしまって……。そうなると、依頼を受けて制作・納品という、達成感が強い仕事絵が楽しくなってきたんです。

でも、それだけだとやっぱりイラストの方向性も固まってきてしまいますし、何より息抜きになるので、これからはまたオリジナル絵も描いて公開していきたいと思います。さらに色々なお仕事も任せてもらえるようになりたいですね。現在はソーシャルゲームのイラストが主体ですが、将来的にはTCGやその他紙媒体のお仕事も依頼頂けるようになりたいです!

最後に、これからイラストレーターを目指す方々に何か一言おねがいします!

ueo:やはりまずは量を描くのが大事だと思います。ちょっと描かないとすぐに忘れてしまうので、毎日描き続けることは最低限すべきことだと思います。私の場合ですが、アナログ時代は10枚紙を用意して、全部埋まるまでデッサンする、という練習をしていました。

また、イラストを制作する際は構図や見せ場にこだわると良いと思います。
予備校時代の先生のお言葉で
・一番大事なのは構図
・二番目に大事なのが技術
というのがあったんですが、これは本当にその通りで、構図が微妙だとどんなに塗りでカバーしようと思ってもやっぱり微妙になってしまうんです……。ですが悩んだ分だけ、構図がカチッと決まったときは嬉しくなります。

……と、大変そうに言いましたが、イラストを仕事にすることはとても楽しいです!よく好きなことを仕事にすると大変と言いますが、仕事でイラストを描くとそれまで気付けなかったことにもたくさん気付けてどんどん成長できますよ!……あ、でも睡眠時間は削れがちかもしれないです。長く寝るのが好きな方は、もしかするとだいぶ気合いが必要かもしれません(笑)。

キツいときもあるかもしれませんが、日々の成長が感じられてとても楽しい仕事ですので、みなさんもぜひがんばって下さい!

—ueoさん、ありがとうございました!

ueo(うえお)
美術大学にてデジタルイラストを学び、卒業後はフリーランスへ。美麗系の塗りを特徴とし、様々なソーシャルゲームのイラスト制作で活動中。現在、愛犬と2人(1人と1匹)暮らし。
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