

—イラストレーターを目指されたキッカケはなんですか?
あきるさん:元々イラストを描くのが好きだったのですが、最初はあくまで趣味の範囲でした。キッカケは、母に『好きなことをやっていいよ』と言ってもらえたことです。
実は高校卒業のギリギリまで、進学先は専門学校の医療系学科を予定していました。でもその専門学校の中にイラスト学科もあって。そこで母にそう言ってもらえたので、思い切ってイラスト学科への進学を決めました。
—在学中にフリーランスへの道を決めたのですか?
あきるさん:いえ、当初は漠然とデザイン系のお仕事ができたらな、と考えていました。そしてそのまま印刷会社の内定を頂きまして、在学中からインターンを始めました。
でもそのタイミングで、たまたま専門学校に来た企業様から、イラスト制作のご相談を頂きました。就職のお誘いではなく単発での依頼だったのですが、やはり仕事でイラストを制作してみたいという気持ちがあり、制作を引き受けました。

あきるさん:そうしたら継続で依頼を頂くことができまして、アルバイトをしながら制作を続けました。その後、実績公開OKなタイトルだったこともあってpixivにイラストをUPしていましたら、他の企業様からもお仕事を頂けるようになり、本格的にフリーランスとして活動を始めました。多分、あのとき1回で依頼が終わっていたら、いまフリーランスのイラストレーターにはなっていないと思います。
—現在は完全に在宅のフリーランスのみでお仕事をされているのですか?
あきるさん:はい、現在はフリーランス一本に絞っています。といっても一人暮らしではなく実家暮らしなのですが。一人暮らしも一度してみたいのですが、費用のことを考えると二の足を踏んでしまいますね……。貯金なども考えますとけっこうな稼ぎが安定して必要ですから。
—社会保障やその他の福利厚生も考えますと、同程度の生活をしようとしたら会社勤めよりも多くの収入が必要ですものね……。では現在はご実家の部屋でご制作を?
あきるさん:はい、自室が仕事部屋を兼ねています。なので、自室にいるとあまり気が休まらないですね(笑)。仕事のことばかり考えちゃうので、落ち着こうと思ったら自室ではなくリビングに行きます。そこでペットの猫と遊ぶのが癒しの時間です。

でもそんなところもとてもカワイイとのこと♪
あきるさん:他に携帯ゲームやTVを観るなどで多少休憩することもありますが、自室にいる間はほぼ作業時間です。日によって差はありますが、大体10時間ぐらいはイラストを描いていると思います。
—毎日ですか?
あきるさん:用事がない日はほぼ毎日ですね。ただ、土日は企業様がお休みされていることが多いので、お仕事のメール自体は少なくて、少し気が楽です。平日はイラスト制作の前にメールチェックする時間もけっこう長いので。
特に月初めは毎日のほとんどが作業時間になってしまうことが多いです。私はラフ段階でデザインの細部まで決め込んでしまうタイプなので、複数イラストのラフ提出が重なる月初め(※)は、一番大変な時期です。
※案件によって異なる場合もあるが、多くのイラスト制作は「月頭開始〜月末納期」のスケジュールで進行する場合が多い。
—デザインは普段どのように考えられているのですか?
あきるさん:とにかく色々なデザインを普段から見て知識を蓄えるようにしています。様々なゲームのデザインももちろんですが、西洋絵画の壁の模様など、気になるものはチェックしますね。ネットで調べて気になったものは大体「Pinterest(※)」に保存し、時々見返して参考にしています。
※Pinterest(ピンタレスト):ピンボード風の写真共有ウェブサイト。気になった画像をウェブ上で保存・共有できる。
—様々なデザインを吸収してオリジナリティに昇華していっているのですね!たしかにあきるさんというと、デザインや塗りに特徴があって、一目であきるさんと分かる印象があります!

あきるさん:そう仰って頂けるとありがたいのですが(笑)。実は最近は自分の絵柄というものでちょっと迷い中です。たくさん仕事を頂けていることはありがたいのですが、最近自分の元の絵柄というのがわからなくなってきてしまいまして……。
元々『セーラームーン』ぐらいの時代のアニメが好きで、目が大きな可愛らしい絵柄がいまでも好みです。でも最近は少し目が小さいイラストが好まれる傾向があるので、描ける機会が減っていて少し悲しいですね……。年齢低めのキャラの依頼がくると比較的好みが入れやすいので、瞳は大きく、輪郭はモッチリめで、配色はカラフルと、自分が好きなかわいさを詰め込んじゃいます(笑)。
主線に関しても以前は特に目立たせる部分でもない限り、あまり入れない厚塗りスタイルでした。けれど仕事をしていく中で、レイヤー分けの必要性などを感じて対応しているうちに、キッチリカッチリと主線を引くのが癖になってきてしまいました。
もちろんいまの絵柄も一つの技術ですが、元の自分の絵柄も取り戻したいなと考えています。なので、今後は仕事外でも定期的に絵を描く時間を取るようにしていきたいです。意気込んで描くというよりは、ラフに落描きする感じで楽しく思い出していければな、と。

—直近の目標ですね。ちなみに直近の目標が出たのでお聞きしたいのですが、これからもっと先、10年後だとどんな目標がありますか?
あきるさん:10年後……まだ正直わからないですね。ただ2Dイラストを描くだけで生活するのはいまより難しくなるだろうな、とは考えています。携帯ゲームでも3Dを使用する部分は増えていますし、2Dイラストだけで見てもLive2Dなど様々な技術が増えていますし。でもイラストを描くことは大好きなので、10年後でもイラストを描き続けてはいると思います。
—最後に、これからイラストレーターを目指す方々に何か一言おねがいします!
あきるさん:個人でイラストレーターを仕事にしていくなら、自身の画風などにはあまりこだわったりせず、本当に「絵を描くこと」が好きなら、この道を選んでも大丈夫だと思います。
もちろん、自分の絵でお仕事をさせて頂けることもありますが、ほとんどの場合は普段描かないジャンルや、作風などのお仕事になります。私は、そういった場合のお仕事なども、絵を描くことが好きだから、頑張ることができます。
仕事として続けていくと、しんどいなぁって思うことも度々あります。でも、良いものが描けたと思った時や、ゲームで自分の絵を見かけた時はすごく嬉しいですし、とてもやりがいを感じます。
フリーで絵のお仕事をしていくことは、趣味で描くのとは違うことも多くて、不安でやめてしまう人もいるかと思います。でも、好きならぜひ続けていってください!
—あきるさん、ありがとうございました!

西洋ファンタジーから和風まで多種多様なデザイン、また色鮮やかな彩色が特徴で、女の子や男の子キャラを中心にソーシャルゲームのイラスト制作で活動中。
